信州干し柿だより

信州の干し柿作りはいまが最盛期
農家の軒下は干し柿の鮮やかなすだれが一面に垂れ下がり、とてもきれいですね。
(撮影 長野県飯田市在住 新介さん(2004/11/13))



干し柿」はどうやって作る?

冬の食べ物「干し柿」、おいしいですねぇ。
特に信州の「市田柿」は、上品な甘さとほどよい噛みごたえで、高い人気を誇っています。


ビニールハウスと干柿 
まるで藤棚のように鮮やかなオレンジ色の干し柿がいっぱい吊るされています。


信州の飯田にお住まいの新介さん(MDラベルのbakaラベラーに登場)から、秋の風物詩「干し柿作り」の写真が送られてきました。

「干し柿」、各地にいろいろな名前の干し柿がありますが、信州といえば「市田柿」で有名ですね。私もこの市田柿はたいへん好物なんです。でも北海道出身の私には、干し柿がどのように作られているのか、実はよく知りませんでした。食べるだけ・・・・(笑)ではいけませんね。

今日はみなさんと、干し柿作りの実際を画像で見てみたいと思います。

 


むかしは軒下、いまはビニールハウス

  干柿光景 干し柿でめいっぱいふくらんで・・・   藤棚のような干柿  吊し柿が、花のように・・・

  この写真を見て、おもわず「きれいだなぁ!」と思いました。
 まるで藤棚ですね。
 昔は家々の軒下に吊り下げられていた干し柿も、いまはビニールハウスや作業小屋の中で作られます。
軒下に一面吊るされる干し柿の風景は、いまではあまり見られなくなったようです。

柿の木に埋もれて柿採り  あたり一面の柿の実 柿の手摘み光景

 柿は、このように一個づつ手作業で摘み取られます。普通は脚立の上での作業ですが、直接木に上ることもあるとか。
 そして、摘まれた柿は皮むきに回されます。この皮むき、以前は手作業で一個一個剥いていたようですが、いまは機械で剥くようになりました。皮を剥かれた柿は、ビニールハウスの中に吊るされます。まるで柿色の花が咲き誇っているような光景ですね。
カビの予防

 ところで、干し柿作りでは、皮を剥いた柿がそのまま干されるわけではありません。実は、干す前に燻蒸という作業を行います。
  これには硫黄が用いられますが、燻蒸することで干している間にカビがつかないようにしているのだそうです。これは初めて知りました。しかし、平成10年のように暖かい秋の場合は、燻蒸してもカビによる被害が多かったのだそうです。あ、そうそう、干し柿のあの白い粉は、カビではありませんからね。くれぐれもお間違えのないよう・・・・(詳しくは次回にご説明いたします)

干柿と信州の山々  遠くに見える山々は日本アルプス
丹念に作られる市田柿

 
市田柿は、こうしてビニールハウスの中で一ヶ月ほど乾燥され、12月になると出荷されます。
 この乾燥期間、実は農家の人たちによる「手揉み作業」があります。ただ干しているわけではないんですねぇ。丹念に揉んでは干すという作業を繰り返すうちに、あの白い粉のついた市田柿に変身するのです。でも、今年は水分の含有率が多いようで、例年より柿の収縮が大きく、小さなものが多くなりそうとのこと。ちょっと残念ですね。
 ところで市田柿のパッケージには、必ず生産者の名前が入ったラベルが底に入っています。食べ終わったら、ぜひ見てくださいね。そうして、生産者の苦労にも感謝しましょう。


<撮影:長野県飯田市在住 新介さん>

干し柿は、甘柿?渋柿?

 柿には、甘柿渋柿があるのをご存知ですか?
 干し柿は甘いから、甘柿で作ると思っておられる方も多いようですが、甘柿だけではなく実は渋柿も原料なんですね。甘柿系の柿には、岐阜県の富有柿、静岡県の次郎柿、そして愛知県の筆柿があります。渋柿系では、山形県の庄内柿や佐渡のおけさ柿のような「平核無柿(ひらたねなしがき)」が有名ですが、脱渋技術が発達した最近では、渋柿で干し柿を作ることが多くなったといいます。 脱渋、つまりいかに渋を抜くかというのは、以前はアルコールを直接へたに塗り、3日ほどかけて脱渋していましたが、平成に入ってからは炭酸ガスを使って1日で一気に脱渋することが可能になりました。でもビニールハウスでの栽培をしているところでは、一個づつ固形アルコールを入れたポリ袋でくるむ「樹上脱渋」をしているところもあるようです。大変な手間ですね。またこの他に「お湯」を使う「湯抜」という方法もあるそうですが、干し柿の場合は、干すことで脱渋できます。たっぷりのお日様を浴びて、ゆっくり水分が抜けていくうちに、あの渋いタンニンがぎゅっと固まって自然に脱渋されていくんですね。
手作業の皮むき
軒下の干し柿
こういう光景はなかなか見られなくなりましたね。
郡山市郊外にて(11月末)
撮影:しらたさん(福島県在住
渋ってなに?

 ところで「渋」ってなんでしょうね。

  これは、お茶などにも含まれている「タンニン(シブオール)」なんですね。このタンニンは水溶性のため、口に入れると溶け出して味覚神経を収斂(しゅうれん)させ強烈な渋みを感じさせます。脱渋すると、タンニンがアセトアルデヒドなどと結合して固化し、水に溶けない状態になります。甘柿は、熟成するにしたがってこのタンニンが自然に消えたり、固化したものなんですね。よく柿を食べていると、黒いゴマ状の固まりを見ますが、これが固化したタンニンなんだそうです。
柿の栄養と効能

 柿にビタミンCAがたっぷり含まれているのは、あまり知られていないかも知れませんね。ビタミンCは、風邪に対する抵抗力をつけたり、過酸化脂肪などの酸化毒の生成を抑える作用やアルコールを分解する作用もあります。柿は二日酔いに利くといいますが、それはこの効能を言っているんですね。また柿には豊富なカリウムによる利尿作用もあり、さらにタンニンが血液の透過作用を高めてくれるので、ますます二日酔いに利くのかもしれません。  ところで、干し柿にした場合はどうなのでしょうか。干し柿で一番優れているのは、食物繊維が豊富であるということでしょう。食物繊維は整腸作用があり腸内バランスを整えてくれます。また発ガン物質やコレステロール、過剰な食塩などを吸収して排出してくれます。  干し柿はまさに、健康食ですね。

 あんぽ柿ところ柿

干し柿には、「あんぽ柿」と「ころ柿」の2種類があります。  

左側があんぽ柿(山梨県)右側がころ柿(長野県・市田柿)

 あんぽ柿は、やわらかめの干し柿で、乾燥歩合でいうと50%くらいだそうです。つまり生柿が半分になった勘定ですね。多くは遠赤外線装置で乾燥させて作るそうです。  ころ柿の方は、さらに乾燥が進んで25%程度とか。こちらは生の柿がちょうど1/4になった状態ですね。コラムで紹介した市田柿は、ころ柿に属します。

山形県上山町にて
撮影:林さん(山形県在住)

 ころ柿の高級品「紅干し柿」(別名「蔵王つるし柿」)の出荷はこれからが最盛期です。左の画像は、山形県上山(かみのやま)町の「紅干し柿」ですが。ほんとうに紅色ですね。これまで画像で紹介した市田柿と比べても、その紅色の濃さが分かります。この紅干し柿もほんとうにおいしいですよ。

 噛めば噛むほどに甘味が口中に広がる紅干し柿、私が一番待ち遠しい初冬の味覚です。

 

                  

このコンテンツは、2001年に、フジテレビフューチャーネット「people」に掲載されたもの
を、 2004年、リメイクして「まめとも」に再掲載いたしました。(執筆者 落合まさゆき)


       

 
 

まめとも会員の新介さんのホームページで、この「市田柿」を注文できます。
2005年度は、12月末頃から販売されるそうで、予約受付がはじまりました。
お楽しみに。

http://www.mis.janis.or.jp/~joiner/order1/frame.html

 


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